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めんどくさがり恵香の日記&小話 ◇=復活 ♪=O振り #=YGO 無印=その他オリとか
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「これ、あげるよ」

 三橋に渡したのはただのビー玉だったけれど、ちょっとみかけないきれいな水色のビー玉で、なんとなく特別に思えたものだった。
三橋は両手で受け取り、陽に透かして見たりころころと手のひらで転がしたりと弄んでいた。

「きれい、だね」

 キラキラと目を輝かせてビー玉を見つめていた三橋はふひっと笑った。
オレはそうねーと頷いて、三橋につられて笑うとラムネのビンを放り投げた。
がしゃんとゴミ箱に入ったのを見届けると、後ろから「ナイ、シュー」と声がかかり、また二人で笑った。
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 右手にはヒトの首があった。

「田島く、ん!!!」

 三橋はふるふると首を左右に振っていた。
 何度も何度も、オレを否定するかのように、オレの腕にしがみついたまま首を振っていた。
「なんで?だってコイツが悪いんだろ」
「ちが、」
「違わないよ」

 三橋にぶつかって、三橋を転ばせて、三橋に怪我させた。

「悪い奴だ」

 右手に力を込めると、耳障りなうめき声とやめてと言う三橋の声が聞こえた。
 止められないよ。
 だって、悪い奴は退治しなくちゃ。
 オレが三橋を守るんだから。

「雨降らないかなぁー」
「えっ!?」

 雨の日と言えば、筋トレ筋トレ筋トレばかりでなかなかバットもボールも持てなくて、非常につまらんそうに過ごす、野球大好き遊びたい盛りの少年にはたまらない一日じゃないか。
 そんなことをその野球大好き遊びたい盛りが言うものだから驚いてコーヒー牛乳を落としてしまった。

「どうしたんだよ、田島ぁ」

 明日は天変地異でも起きるのか?それとも今すぐこの瞬間?
 なんて冗談も出ず、田島の顔色を伺っていたら、にかっとそれはそれはいつも以上の笑顔を見せられた。

「虹が見たいんだってさ、ミハシ」

 カンカン晴れの空を見て、雨降らねぇかななんて楽しげに言う田島に、オレが見せてやろうかなんて言ったら怒られた。
 雨が降っても、止んで太陽が出なけりゃ自然にできる虹なんて見せらんねぇのになにをこだわっているんだか考えてねぇんだか。
 まぁ、オレは後でホースの準備でもしていよう。
「死のう」

 素晴らしく澄んだ青だった。
 凄くキレイな青だった。
 いつもとかわらない、空だった。
 だから、オレには最初、よくわからなかった。

「なん、で……?」
「ここじゃぁオレたち、一緒に生きることできないだろ?」

 そんなことはない。
 だって、今までだって普通に生きてきた。
 これからだって普通に生きていける。

「そんなこと、ないよっ」

 田島くんは、首を振った。

「それはオレたちが出会ってなかったからだよ」

 手を、ぎゅっと握られて、台の上に上がった。

「一緒にいこうぜ」





**
お久!!!←
 田島が三橋に好きだと伝えてもオレも好きだなんていって終わるような話が、オレが好きだよなんて言ったらいつも以上にうろたえて、話もなにも伝わらないうえトンチンカンな応えをする三橋っていうのはつまりさ、

「両思いだって、解釈していいの?」
「ぅ、えっ!」








**
いや 誰でもいいけど



私としては




水谷くんのつもりだよ

「お腹、空いたね」
「そうだなー……」
「なんか、食べる?」

 そう、頭を傾げながら三橋が聞いてきて、思わず「三橋」と声を出してしまったのだけれども、三橋は名前を呼ばれたと思ったのか「なに?」とまた聞いてきた。

「ぁー……なんでもない。アイス買いに行こうぜ、ガリガリ!」
「ガリガリっ!」
「アイスっ!オレも行くーっ」
「田島も行くのかよ。じゃあオレも行こうかな」
「はぁ?お前もくんの?」
「泉……そんな露骨にイヤな顔すんなよ。泣くぞ」
「かってに泣いてろ」
「ひでぇ!」

 結局四人でコンビニ寄って四人でアイスを食べたけどなんだかいろいろとモヤモヤとした午後だった。
「三橋」
「……馬鹿かお前」

 生きていく上で一番必要なのはなんですかとかいう実にありきたりな質問を投げかけた先生は生物担当だから答えは酸素だとか水だとかが正解なんだろうけど、田島は非常におかしくて、馬鹿みたいな答えをはじき出した。
 大声を張り上げて言わなかっただけましかもしれない。
 浜田も三橋も席の関係で今の発言を聞き取れなかっただろう。

「なんでバカになるんだよ」
「別に三橋がいなくても生きてけるだろ。現にお前高校上る前まで生きてたし」
「んーでもさ」

 最近ダメなんだよ。三橋が目に見えないとなんだかさ。
 そんな馬鹿なことを言うものだから一言だけ罵って、授業に集中することにした。




「なんかアツイな」
「ぅっう、ん」

 涼しい顔をして言う泉くんにとっては今さっき起きた事はとっても小さな出来事だったのかもしれないけれども、オレにとってはとっても大きな事件で、まだ目の前はぐるぐるしてるうえ、どこもかしくも熱く感じられた。

「アツイ、ね」
「ぁー……って三橋!」





 目を開いたら保健室にいた。



「キライ?」
「いえ」

 なんだか、とっても安心する感じがして、好きです。
 なんて好きな奴から言われたら勘違いしちゃうよな。
 そんなコトを言ったら慎吾はオレの頭を軽く叩いてバカと一言罵った。

「そんなのほほんした顔で有り得ない妄想するなよなー」

 お前のはただの糸目なんだから。
 とか言われても、実際にああ言われたこっちは幸せな上、勘違いしちゃったんだよ。
 ねぇ三橋。
 いっそのことオレを好きになっちゃいなよ。
 話があると言われたら、ハイそうですかと普通だったら受けるけれども、今回ばかりは残念ながら悪いけど……と断る。
 そういうつもりで以前から身構えていたにもかかわらず、うっかり二つ返事で了解してしまった。
 バカだろ、オレ……。


 約束してしまったとおり、昼休みに部室裏へとクラスメートには感づかれないように、もっともらしい理由を言ってきた泉は、まだ来ない相手を待った。
 先に教室を出たのにもかかわらずまだここにいないとなると、どこかで自称未来の夫というただの変態にでも捕まっているのかもしれない。
 泉は壁に寄りかかり思案したが、いくら変態に捕まっているかもしれないとは言っても、以外に意志の堅い三橋は自分から(珍しく)言い出した約束を破ることはないだろうと思い、なんとか変態の魔の手から逃げ出してくるはずだという結論に達した。
 許せ三橋。
 ずるずると壁に徐って座り込み、心の中で謝罪する。
 助けに行きたいのはやまやまだがそこで田島に会ったらオレの作った言い訳が立たなくなる。

「……許せ、三橋」

 泉は二度目の謝罪を呟いた。
 きっと、息を切らしてこっちに着いたら、遅れてごめんねと言った後ちょっと俯いてしまうんだろうなと思いつつ、そうしたらお前のせいじゃないだろとでも言って三橋の息が整うのを待ってやろうと少し考えた。
 そこでひとつため息を吐くと、頭を抱えて朝のやりとりを思い返した。


 なんら変わりようのない朝の風景。いつものように挨拶を交わし合い、ホームルームまでの時間を潰すためいつものように談笑をしていると花井が田島を呼び出した。どうやら教科書を田島が借りたまま返していないようで、たぶん机にあると無責任に返答した田島を叱りながら花井は田島をつれ田島の席へ移動した。
 田島が背を見せると三橋は泉の服を摘みながら話を聞いてくれるかと言い出した。浜田はそんな三橋を後ろからなぜだか応援していた。泉は軽い気持ちで聞いてやるよと言った。今日は小テストと宿題が重なっていたからそのどちらかの話だろうとあたりを付けて「なんだよ」と聞き返し、三橋の話を待とうとしたら「昼休みに部室の裏」とだけ言い残されて、それ以上は時間の都合が付かず聞けなかった。


 実を言うと、少しうかれていた。
 泉は同じ部活に同じクラスということもあり、三橋とよく喋ったりとしている。けれど正確に言えばそれはあのゴールデンウイーク後からなのだ。それより以前はただなんとなく部活も一緒ということでたまにしか会話という会話をしなかった。三橋の近くには寄りにくかったし、たまに田島も絡んでいたので泉は最低限の付き合いさえすれば問題ないと考えたのだ。
 最低限の付き合いさえすればいい。
 たぶん、部員全員がそう思っていただろうと泉は思う(田島がどうかは知らないが)。
 まず第一印象が悪すぎた。あれで好きになるほうがイカレてる。現在アレな阿部だって近寄りたくないと言っていた。口を開けばネガティヴ一直線の奴を好きになる方がおかしい。
 変わり始めたのは合宿後だ。
 栄口は世話をやき始めるし、水谷はまぁその前もへらへらと話しかけてはいたけれどふとしたときには三橋と喋っている。沖は普通に友達してるし、巣山と西広は弟感覚で三橋を見てる。花井も……は、母親ポジだな。
 そんな中で泉もお兄ちゃんポジションをゲットしていたのだが、同じポジションなのにかなり頼れるが前に付いてしまう浜田が登場し、明らかに頼られることが少なくなったのだ。
 別にそれがイヤだとかそういうのではなくて、ただなんとなく、そう、数少ないお兄ちゃんぶれる機会が減ってしまいちょっとした寂しさがあっただけだ。
 そんなこんなな日々を過ごしていたらこれだ。
 浜田ではなく自分が必要とされているような言い回しをされ、(てないかもしれないがあの時はそう聞こえたんだ)少しうかれてしまったのだ。


 何度思い返しても失敗したと思う。
 まず、浜田が援護についている時点で宿題だとかいう相談はされることがないという事実に気づけば良かった。もしも聞きたいことがそれだったら、三橋よりも先に浜田が聞いてきたはずだ。
 本当に誤算だった。
 もし聞かれるなら、三橋ならふたりっきりの時にしかこの話は持ってこないだろうという予想に頼りすぎていた。
 ある意味大当たりだろうが呼び出しでくるとは思わなかった。
 泉は入れ知恵をしていたことを告白してきた浜田を思いっきり殴っただけでは足りなかったなと悔しく思った。
 あぁ、本当に失敗した。
 しかし、うっかり話を聞くと言ってしまったので諦めるしかない。だが、なかなか踏ん切りはつかないもので、ここで立ち上がったりなんかしたら必ずなにかしらの理由をつけて自分は逃亡してしまうだろうと思うと、立つに立てない。
 もう、いっそのこと逃げて、またの機会にとでも誤魔化してしまおうかと泉は腰を浮かせた。
 瞬間。

「いずみっ、くんっ!」

 来た。

「ぉ、おう」

 片腕を上げて返事を返してやると、予想通り息を切らせながら謝り始めた。

「ご、めんね。あの……阿部くんと、話、てて……」

 遅れてごめんと続くよりも先に、泉は三橋のせいじゃないから良いよと言葉を遮った。

「それに、オレもそんなに待ってないし」

 十分は許容範囲内だ。

「でも、オレのほうが、さき、に、出てきたのに」

 確かにそうだけれど、相手は変態だったのならば仕方ない。

「だからさ、三橋のせいじゃないんだからいいって」

 で、なんのよう?なんて台詞は吐けない。三橋がオレを呼び出した理由なんてわかりきっている。
 しかし、それを話題には出来る限り出したくない。三橋が切り出すのなら聞くけれど、自分からは絶対に言いたくない。
 呼吸を整えている三橋を見ながら、大丈夫かと問いかけると頷いた。大丈夫なんだろう。

「……えっと、ね」

 三橋自身、言い出しにくいんだろう。視線が斜め下方向をさまよい始め、明らかに戸惑いの表情を見せている。
 さらに三橋の口からは「う」とか、「その」しか出ず、話が進まない。
 このまま休み時間が終わって、三橋の問いを聞かずにすめばいいのに。そうすればとりあえず、今日のところは誤魔化せる。
 ……誤魔化せる?
 誤魔化せるとは人聞きが悪い。だいたいさっきからなにを誤魔化そうと言うんだか、自分で思ったことなのに全くわからない。
 あぁ、またなにかモヤモヤとしてきた。

「いずみくんっ!」

 妙に顔を引き締めてまっすぐこっちを見てきた。
 ついに言い出すのかとちょっと身構えた自分が何故か嫌になった。
 最近の自分はおかしい。自分の事なのにどうも把握しきれない感情が多い。

「あの……、えっと……」

 身構えたにも関わらず、相変わらずどもる三橋にほっと一息をついた……まあ、三橋がそんなにすっぱりと言える話題じゃないか。
 と油断した瞬間。すっぱり……とまでは言わないけど(間違っても言えない)、三橋は拳を握りながら悲愴な顔で尋ねてきた。

「けんか、してるの?」
「……してないよ」

 誰と、なんて事は言われなくてもわかっている。
 でも、別に喧嘩と言う程の喧嘩なんてしていない。
 ただ、ちょっとした意見の相異のようなものがあって……というか、ヤバくて……そう、おかしいからいけないのだ。

「喧嘩なんて、してないよ。三橋の思い過ごしだって」
「でも」

 本当に、全然気にしなくて平気だから。むしろ、気にして欲しかったのはこの前の段階だとは言わなかったけれど、三橋は少し悩んでからわかったと頷いた。

「オレの、せい、なんだよね」
「そうそう。三橋の思い過ご……は?」

 なんだろう。聞き間違いかなにかか?

「オレが、なんか、悪い、ことしたん、だ」

 聞き違いじゃないらしい。
 三橋はまったくもって見当違いのことを言い、勝手に俯き肩を震わせた。

「三橋、おちつけ。お前のせいじゃないから」

 少し考えればオレらが喧嘩するのに三橋の善悪が関わることはまずないことに気付くはずが、三橋の特殊能力のせいで考えられないらしい。
 三橋はごめんなさいと何度も言い、泉はお前のせいじゃないからと重ねて言い続けた。

 残念なことに、昼休みの終わりを告げるチャイムの音のせいで、頑固で卑屈な被害者は勘違いをしたままになってしまった。












**
中途半端になった( ̄‐ ̄ι)
でもこれ これ以上続けられない気がする
プロフィール
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そらら けいか
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女性
趣味:
自己の追求(?) 絵とか
自己紹介:
落ちるとこまで堕ちた たぶんオタク人
夢は書く派でさらりと読む派でも書き終わったことはない
CPは NL BL GLバッチ恋☆
欲望のままに生きるダメな人の見本

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